【社労士試験】労働基準法の「解雇」のポイントは、これだ!

【社労士】労働基準法

こんにちは、マサヤドスです。

今回は、社会保険労務士試験において頻出項目となっている、労働基準法 第二章 労働契約 の『解雇』について、ポイントをまとめてみました。

『解雇』のポイントは、ずばり次の3つです。

1.解雇制限
2.解雇の予告
3.解雇の予告の適用除外

では、さっそく、ひとつひとつ見ていきましょう!

解雇制限

まずは条文の確認です。

(解雇制限)
第十九条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

条文のとおりですが、解雇に制限がかけられているのは2つです。

1.労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間
2.産前産後の女性が第六十五条の規定によって休業する期間及びその後三十日間

このような状況下で、『解雇』されたら労働者はたまったもんじゃないので、当然のことですね。

当然のことではあるんですが、使用者側にも配慮(?)されているのか、条文の但書では解雇制限の例外が規定されています。

1.使用者が、第八十一条の規定によって打切補償を支払う場合
2.天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

例外の「1」ですが、単純にすると、打切補償という名のお金を払って辞めていただく、ということですね。
ついでに、第八十一条の条文も確認しておきます。

(打切補償)
第八十一条 第七十五条の規定によつて補償を受ける労働者が、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の千二百日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。

打切補償は即座にできる訳ではなく、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合に、平均賃金の1,200日分の補償を支払う必要があります。

流れとしては、

療養開始三年経過 → 治癒しない → 平均賃金の1,200日分の打切補償 → 解雇制限の解除 → 解雇

といった感じでしょうか。

ちなみに、打切補償、どのくらいの額でしょうかねー。

平均賃金を1万円(こんなもんでしょうか)と仮定すると、ざっと1,200万円!!

この額支払ってまで辞めていただくの、なかなか勇気いりますね。

続いて「2」ですが、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」ということで、例えば火事や震災で事業継続不能状態に陥ったような状況です。

このような場合は解雇もやむなしといったところですが、条文の二項で行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受けなければならないこととされています。

解雇の予告

これまた、条文の確認です。

(解雇の予告)
第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

「解雇の予告」は、労働者を解雇する場合についての条件が規定されています。

1.少なくとも三十日前に予告すること
2.三十日前に予告をしない場合は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならないこと(解雇予告手当といいます。)

ちなみに、第二項に規定しているとおり、「1.解雇の予告」と「2.解雇予告手当」は合わせ技が可能で、解雇予告手当を支払った日数分、解雇の予告の三十日間を減らすことができます。

続いて、解雇の予告の例外ですが、但書により2つ規定されています。

1.天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
2.労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合

「1」については、解雇制限の時と同じですね。
「2」については、労働者の責に帰すべき事由ということで、労働者側がなにかしら悪事を働いて解雇になっても仕方のない状況ということです。

両方の場合とも解雇もやむなしですが、条文の三項による準用により、両方の場合とも行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受けなければならないこととされています。

解雇の予告の適用除外

またまた条文の確認です。

第二十一条 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
 日日雇い入れられる者
 二箇月以内の期間を定めて使用される者
 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者
 試の使用期間中の者

第二十一条では、「解雇の予告」が適用されない労働者が規定されています。また、但書では、適用されない労働者が要件を満たした場合には、適用されることとなる例外があわせて規定されています。
表にまとめると、こうなります。

「解雇の予告」の適用除外労働者例外
日日雇い入れられる者一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合
二箇月以内の期間を定めて使用される者所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合
季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合
試の使用期間中の者十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合

まとめ

今回は『解雇』について確認してみました。
『解雇』については、「解雇制限」、「解雇の予告」、そして「解雇の予告の適用除外」のそれぞれについて、原則と例外をしっかり理解しておきたいですね。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。