【社労士試験】労働基準法の『年少者』のポイントは、これだ!

【社労士】労働基準法

こんにちは、マサヤドスです。

今回は、社会保険労務士試験において定期的に出題されている、「労働基準法 第六章 年少者」について、ポイントを確認していきます。

「年少者」の重要ポイントは、次の3つです。

1.「年少者」と「児童」の定義
2.最低年齢
3.年少者・児童の労働時間等の制限(原則と例外)

では、確認していきましょう。

「年少者」と「児童」の定義

「年少者」と「児童」の定義ですが、その違いについてはしっかりと理解しておく必要があります。

<定義>
「年少者」・・・満18歳に満たない者
「児童」 ・・・満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者

最低年齢

まずは条文の確認です。

(最低年齢)
第五十六条 使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない。
 前項の規定にかかわらず、別表第一第一号から第五号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満十三歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満十三歳に満たない児童についても、同様とする。

最低年齢の原則ですが、第56条第1項の規定により「使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。」とされています。

ただし、第2項の規定により、以下の例外も設けられています。
例外①
別表第一第一号から第五号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満十三歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。
例外②
映画の製作又は演劇の事業については、満十三歳に満たない児童についても、同様とする。

例外については、児童の年齢が満13歳以上か未満かで、使用できる事業が区分されます。
表にまとめると、次のような感じです。

年齢事業
満13歳以上別表第一第一号から第五号までに掲げる事業以外の事業
満13歳未満映画の製作又は演劇の事業
※年齢による区分あり
年齢に関係のない共通事項
児童の健康及び福祉に有害でない
労働が軽易なもの
行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けること
修学時間外に使用すること

参考までに、「別表第一第一号から第五号までに掲げる事業以外の事業」を載せておきます。
いわゆる「非工業的業種」というものです。

別表第一(第三十三条、第四十条、第四十一条、第五十六条、第六十一条関係)
 物の製造、改造、加工、修理、洗浄、選別、包装、装飾、仕上げ、販売のためにする仕立て、破壊若しくは解体又は材料の変造の事業(電気、ガス又は各種動力の発生、変更若しくは伝導の事業及び水道の事業を含む。)
 鉱業、石切り業その他土石又は鉱物採取の事業
 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
 道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業
 ドック、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱いの事業
 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業
 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業
 物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業
 金融、保険、媒介、周旋、集金、案内又は広告の事業
 映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業
十一 郵便、信書便又は電気通信の事業
十二 教育、研究又は調査の事業
十三 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業
十四 旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業
十五 焼却、清掃又はと畜場の事業

年少者・児童の労働時間等の制限(原則と例外)

労働時間及び休日の制限(原則と例外)

またまた条文の確認からです。

(労働時間及び休日)
第六十条 第三十二条の二から第三十二条の五まで、第三十六条、第四十条及び第四十一条の二の規定は、満十八才に満たない者については、これを適用しない。
 第五十六条第二項の規定によつて使用する児童についての第三十二条の規定の適用については、同条第一項中「一週間について四十時間」とあるのは「、修学時間を通算して一週間について四十時間」と、同条第二項中「一日について八時間」とあるのは「、修学時間を通算して一日について七時間」とする。
 使用者は、第三十二条の規定にかかわらず、満十五歳以上で満十八歳に満たない者については、満十八歳に達するまでの間(満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日までの間を除く。)、次に定めるところにより、労働させることができる。
 一週間の労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、一週間のうち一日の労働時間を四時間以内に短縮する場合において、他の日の労働時間を十時間まで延長すること。
 一週間について四十八時間以下の範囲内で厚生労働省令で定める時間、一日について八時間を超えない範囲内において、第三十二条の二又は第三十二条の四及び第三十二条の四の二の規定の例により労働させること。

まず、第1項ですが、満18歳に満たない者(年少者)には、第32条の2から第32条の5(変形労働時間制)、第36条(36協定による時間外・休日労働)、第40条(労働時間及び休憩の特例)、第41条の2(高度プロフェショナル制度)の規定が適用されない旨規定されています。
ここで気を付けたいのは、時間外・休日労働の規定が適用されないのは第36条の36協定の場合だけであるということですね。
要するに、第33条の災害等による臨時の必要がある場合や公務のために臨時の必要がある場合は適用されるため、このような場合には、時間外・休日労働させることが可能となります。
また、年少者が第41条該当者である場合にも時間外・休日労働させることが可能です。

続いて、第2項では、第56条第2項の規定により、児童を例外的に使用する場合について労働時間の制限が定められています。
第56条第2項の規定により、第32条の規定を読み替えると次のようになります。
①使用者は、労働者に、休憩時間を除き、修学時間を通算して一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き、修学時間を通算して一日について七時間を超えて、労働させてはならない。

ここでのポイントは、児童を使用する場合の労働時間については単に労働する時間だけでなく修学時間についても考慮する必要があることと、1日あたりの労働時間は8時間ではなく7時間までであることです。

最後、第3項では、児童を除く年少者の労働時間の特例が2つ規定されています。
① 一週間の労働時間が第三十二条第一項の労働時間(40時間)を超えない範囲内において、一週間のうち一日の労働時間を四時間以内に短縮する場合において、他の日の労働時間を十時間まで延長すること。
② 一週間について四十八時間以下の範囲内で厚生労働省令で定める時間、一日について八時間を超えない範囲内において、第三十二条の二(1箇月単位の変形労働時間制)又は第三十二条の四及び第三十二条の四の二(1年単位の変形労働時間制)の規定の例により労働させること。

深夜業の制限(原則と例外)

これまた条文の確認からです。

(深夜業)
第六十一条 使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によつて使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。
 厚生労働大臣は、必要であると認める場合においては、前項の時刻を、地域又は期間を限つて、午後十一時及び午前六時とすることができる。
 交替制によつて労働させる事業については、行政官庁の許可を受けて、第一項の規定にかかわらず午後十時三十分まで労働させ、又は前項の規定にかかわらず午前五時三十分から労働させることができる。
 前三項の規定は、第三十三条第一項の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させる場合又は別表第一第六号、第七号若しくは第十三号に掲げる事業若しくは電話交換の業務については、適用しない。
 第一項及び第二項の時刻は、第五十六条第二項の規定によつて使用する児童については、第一項の時刻は、午後八時及び午前五時とし、第二項の時刻は、午後九時及び午前六時とする。

まず原則ですが、第1項にて満18歳に満たない者は午後10時から午前5時までの間(第2項の規定により、厚生労働大臣が、必要であると認める場合は、地域又は期間を限って、午後11時から午前6時までの間)は使用してはならない旨規定されています。

次に例外ですが、第1項但書、第3項、第4項に規定されており、まとめると次のようになります。

交替制によって使用する満16歳以上の男性の場合第1項但書
交替制によって労働させる事業については、行政官庁の許可を受けて、第一項の規定にかかわらず午後10時30分まで労働させ、又は前項の規定にかかわらず午前5時30分から労働させる場合第3項
第三十三条第一項(災害等による臨時の必要がある場合)の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させる場合又は別表第一第六号(農林業)、第七号(畜産、養蚕又は水産の事業)若しくは第十三号(保健衛生の事業)に掲げる事業若しくは電話交換の業務の場合第4項

最後、第5項では、児童の深夜業の制限が規定されており、児童については午後8時から午前5時までの間(第2項の規定により、厚生労働大臣が、必要であると認める場合(演劇の事業に使用される児童が演技を行う業務に従事する場合)は、地域又は期間を限って、午後9時から午前6時までの間は使用してはならない、とされています。

まとめ

今回は『年少者』について確認してみました。
年少者と児童の労働時間・休日と深夜業の原則と例外をしっかり理解しておきたいですね。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。